暦年贈与(110万円の枠)「持ち戻し」期間延長へ!?3年以上前の贈与も対象に?/名古屋 税理士法人アイビス 相続サポートセンターが相続・相続税にまつわるお役立ち情報をお伝えします。


◇相続でお困りの皆さまへ 名古屋 相続サポートセンターへご相談ください

相続税・贈与税専門家会議(政府税調査会)はこのほど、相続税・贈与税のあり方を議論する専門家会議を設置すると発表しました。

今回の発表でで最も注目を集めたのが、税調会長を務める東大名誉教授の次のような発言です。
「暦年課税や基礎控除の廃止といった懸念も一部であるようだが、そういった議論を行うのではない。より中立な税制構築に向けた議論を期待する」という発言でした。
この発言の背景にあるのは、「暦年課税」で認められている年間110万の基礎控除枠、いわゆる「110万円贈与」を巡る近年の状況です。

110万円の贈与は生前贈与の手法の中でもただ一つ、なんの条件も必要とせず贈与税が完全にゼロにある制度です。

長い時間をかければ数千万円分の財産を非課税で財産を移転するための定番手段です。

この暦年贈与ですが、現在は「持ち戻し」の期間は日本では3年です。

「持ち戻し」とは、相続発生前の一定期間内の生前贈与については相続財産に戻して税金を計算するルールです。

日本では現在、死亡3年以内に行われたものであれば相続財産に含めて相続税を課されてしまいます。

海外ではもっと長く、イギリスは7年、ドイツや韓国では10年、フランスでは15年、米国にいたっては何十年も前に行われた贈与であっても相続時には相続財産に繰り入れることになっています。

年末に向けて進められている23年度税制改正の議論では、この持ち戻し延長が検討される可能性が高いです。現在の3年からフランスやドイツに合わせて10年~15年に設定するのではないかとの見解があります。

もし実現すれば、10~15年後を見据えて贈与を進めておかないと相続税対策が無駄になってしまうことになります。

仮に、持ち戻しの延長が実現したとすると改正法の施行前にさかのぼって15年をカウントすることは書類の保存などの問題から困難であるため「制度改正後の贈与」のみが対象になるとしても、持ち戻し期間が3年で贈与できるのはあとわずかです。

早ければ2023年度に大網に盛り込まれ、2024年からスタートするとの予測もあります。

そうなれば持ち戻し期間3年の現行制度が適用されるのは今年と来年のあと2回しかありません。
110万円贈与の非課税枠がなくならないとしても、持ち戻しが長期化すればその実効性には大きな制限がつくこととなるのは避けられません。
相続税対策の練り直しを急がなければなりません。


ぜひ税理士法人アイビス 名古屋 相続サポートセンターまでお気軽にお問い合わせ下さいませ。


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