相続税の計算


名古屋の税理士法人アイビスが相続税の基礎を解説します。

相続税の計算の流れは次のとおりです。

遺産の合計額を計算する
生前贈与加算の対象の贈与を加算する
相続時精算課税制度の贈与を加算する
相続税の基礎控除額を差し引く
法定相続分で分けた場合の取得額を計算する
法定相続分で分けた場合の税率で計算する
実際の取得割合に応じた相続税額を計算する
相続税額の2割加算の対象者の税額を2割増しにする
税額控除を差し引く

1.遺産の合計額を計算する

まずは、亡くなった人が所有していた財産の合計額を算出します。現金預貯金・株式・不動産など、故人の遺産を全て足し合わせます。なお、生命保険金や退職手当金は故人が死亡時に所有していたわけではありませんので民法上の相続財産ではありません。しかし、相続税を計算する際は生命保険金や退職手当金を相続財産とみなして相続税を計算します。
生命保険金や退職手当金のように被相続人が亡くなったことで相続人のものになった財産をみなし相続財産と言います。みなし相続財産も相続税の課税対象ですので、生命保険金と退職手当金を遺産に含めるのを忘れないように注意してください。ただし、生命保険金と退職手当金には非課税枠があり【500万円×法定相続人の数】が非課税となります。
また、墓地・仏壇・仏具・祭具等は非課税財産です。墓地・仏壇・仏具・祭具を遺産に含めて計算する必要はありません。
故人が借金を抱えていた場合は遺産の合計額から差し引くことができます。

2.生前贈与加算の対象の贈与を加算する

死亡前3年以内に被相続人から相続人が贈与を受けていた場合、生前贈与がなかったものとして贈与額を相続財産に足し合わせて相続税を計算します。このように死亡前3年以内の贈与を加算する規定を生前贈与加算と言います。
贈与時に贈与税を支払っていた場合は相続税額から贈与税額を控除することができます。なお、死亡前3年以内の贈与であっても相続や遺贈によって遺産を受け取っていない場合は生前贈与加算の対象となりません。

3.相続時精算課税制度の贈与を加算する

60歳以上の親・祖父母から20歳以上の子供・孫に贈与する際に相続時精算課税制度という制度を利用して贈与することができます。相続時精算課税制度を利用して贈与すると贈与額の合計が2,500万円になるまで贈与税が課税されません。
ただし、相続発生時に相続時精算課税制度で贈与した分を相続財産に含める必要があります。したがって、税金の支払い時期を贈与時ではなく相続時に先送りしているだけと言うことができるでしょう。相続時精算課税制度を利用して贈与をおこなっていた場合は相続時精算課税制度で贈与した分を遺産の合計額に加算する必要があります。

4.相続税の基礎控除額を差し引く

これまで計算した遺産の合計額から相続税の基礎控除額を差し引きます。相続税の基礎控除額は【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】で算出します。遺産の合計額よりも相続税の基礎控除額の方が大きい場合は相続税が課税されませんので、相続税の申告手続きをおこなう必要がありません。

5.法定相続分で分けた場合の取得額を計算する

遺産の合計額から相続税の基礎控除額を差し引いた金額を、相続人が法定相続分のとおりに相続したと仮定してそれぞれの取得額を計算します。法定相続分とは民法で定められた遺産の分け方の目安です。遺産の分け方について相続人全員で話し合って決める際は法定相続分を目安に話し合いがおこなわれます。
ここでは、実際の遺産の取得割合で取得額を計算するのではなく、法定相続分で遺産を分けたと仮定して取得額を計算します。

6.法定相続分で分けた場合の税率で計算する

法定相続分で分けたと仮定した場合の取得金額に応じた相続税の金額を計算します。

7.実際の取得割合に応じた相続税額を計算する

法定相続分で分けたと仮定して計算した各相続人の相続税額を全て足し合わせます。そして、実際の遺産の取得割合に応じて相続税を分配します。

8.相続税額の2割加算の対象者の税額を2割増しにする

相続人が配偶者・子供・親以外の場合は、相続税額を2割増しとします。故人の配偶者・子供・親以外が遺産を相続する場合、相続税額を2割増しとする制度を相続税額の2割加算と言います。

9.税額控除を差し引く

一定の要件を満たすと税額控除が受けられます。例えば、被相続人の配偶者は配偶者軽減が受けられます。配偶者軽減とは配偶者が取得した遺産の合計額が1億6千万円以下、もしくは法定相続分以下であれば税金がかからないという規定です。

具体的なご相談は相続税申告の経験豊富な名古屋の税理士法人アイビス 相続サポートセンターまでお気軽にお問い合わせください。


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