遺言執行者とは④


遺言執行者が選任される場合

遺言執行者とは「遺言の内容を実現する者」ですが、遺言の執行は相続人自身がおこなっても良いので、必ずしも遺言執行者を選任しなければいけないわけではありません。

「相続させる」という遺言の場合、遺言執行者が相続登記を行えません。

相続の開始(=被相続人の死亡時)に所有権が相続人に移転しているので、相続人が単独で相続登記を行うことができます。そのため、すでに遺言を執行する余地がなく、遺言執行者は相続登記に関して何の権利義務を持つことができません。

しかし、法改正によって今では遺言執行者が単独で登記申請できるようになっています。遺言執行者になることができないのは未成年者と破産者で、これ以外の者であれば、基本的には、誰でも遺言執行者になることができます。

遺言執行者が選任される場合は、以下のとおり3通りあります。

  1. 遺言者が、遺言により遺言執行者を指定する
  2. 遺言者が、遺言により遺言執行者の指定を第三者に委託し、その委託を受けた人が遺言執行者を指定する
  3. 利害関係人の請求により、家庭裁判所が遺言執行者を選任する

実務上は、(1)のあらかじめ遺言の中で指定されていることが多く、(2)は少数です。(3)は遺言書で指定されていなかった場合です。
利害関係人というのは、相続人、受遺者(遺贈を受けた者)、遺言者の債権者などです。

遺言執行者の指定、選任

①遺言者が遺言で遺言執行者を指定する場合

遺言者が遺言執行者を指定するには、遺言による必要があります。
遺言者は遺言で遺言執行者を指定することができるほか、遺言執行者の委託を特定の第三者に委託することもできます。

遺言執行者の指定は、順位を定めることもできます。
第1順位の遺言執行者が遺言執行時に職務を行うことができない場合には、第2順位の遺言執行者が職務を行うなどとする場合です。

また、複数の遺言執行者を指定することもできます。
通常、弁護士や信託銀行が遺言作成に関与する場合には、弁護士や信託銀行が遺言執行者として指定されます。

②遺言執行者の選任

遺言において遺言執行者の指定がない場合や、指定された者が辞退や死亡等をしていた場合には、相続人等の利害関係人は家庭裁判所に対し遺言執行者の選任を申し立てることができます。

なお、この際、申立人は、遺言執行者の候補者を述べることができます。
そして、家庭裁判所は候補者の意見を聴き、候補者が就職を承諾するか否かについての意思を確認するとともに、候補者が遺言執行者として適任であるか否かを判断します。特段の事情がなければ、候補者が選任されることが一般的です。

本日は遺言執行者の選任・指定について解説させて頂きました。
次回は実際に遺言執行者を選任する必要がある場合についてお届けいたします。

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