税務調査の実例:配偶者や相続人に多額な預貯金等がありながら形成過程が不明な場合/名古屋・岡崎市の税理士法人アイビス 相続サポートセンターが解説
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【概要】
相続税の申告を受け、被相続人の預貯金について残高証明書に記載された金額(1億円)に基づき相続税の申告書を作成した。
税務調査の担当官は、被相続人の配偶者名義で3000万円、長男名義で4000万円、長男の配偶者3000万円、孫A名義2000万円、孫B名義1500万円の預貯金があり、被相続人よりも多い旨を説明した。
【調査官の見解】
家族全体の預貯金額2億3500万円を被相続人と相続人の所得割合に応じて計算した金額が相続財産となると判断しました。
① 各人名義の預貯金の管理運用はどのようになっていたのか。
② 印鑑はどのよのなもので誰が所有していたのか。
③ 生活費の負担はどのようになっていたのか
④ 贈与されたものはあるのかどうなのか
⑤ 単なる所得による比較ではなく可処分所得はどのようになっていたのか
相続税法第21条の3 贈与税の非課税について規定しています。
この2号で「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」は非課税とされています。
確かに、生活費等が所得割合に応じて負担していたのだとすれば、調査官の見解は理解できますが、生活費は全て被相続人が負担をして、配偶者及び長男の所得はすべて預貯金として金融機関に預けてあった場合には、担当御交差官の見解と異なります。
また、担当調査官は単なる所得金額を基に按分計算してますが、仮に仮に按分計算する場合には所得金額ではなく、可処分所得を基に按分計算を行った方が、より正確な比較ができるものと判断します。
【対応策】
相続税の申告依頼を受けた場合、なかなか相続人全体の預貯金までは確認できないものです。
しかし、実情を説明して極力協力してもらえる方向にもっていくのも、申告依頼を受けた税理士の仕事の一つです。
やはり、被相続人名義の預貯金のあった金融機関からは家族全員の残高証明書(できれば一定日を決めて3年分くらいあった方がさらにいいでしょう)をとってもらう方向で指導できるとよいと思われます。
家によっては、配偶者と相続人同士お互いの預貯金等については秘密にしているところもあると思うので、絶対に各人の残高証明書をとってもらわなければいけないわけではありません。
協力が求められないような場合は、家族名義ん貯金が税務調査のポイントとなる旨は十分に説明しておく必要があります